中波放送を安定して聞くには
遠距離の中波放送を安定して聞きたいという要望はけっこうあるもので、ここでいくつかの方法を紹介しようと思う。ただ、もうすでにたくさんの表サイトで紹介されているので、ここでは、それらへのリンクと、簡単な方法の紹介にとどめておこうと思う。
ラジオの性能に関して
アンテナをしっかりしたものにすれば、不安定な状態を補うことはできるが、ラジオ、アンテナの性能がよほど良くない限り、まったく聞こえない放送が聞こえるようになるということはない。アンテナを大きなものにして電波を強く受信できるようにすれば、近距離の電波をより強く受信するうえ、目的外の電波も受信してしまうので、ふつうのラジオではこの電波を処理しきれなくなる。いま使っているラジオでオッケー、といいたいところだが、小さな携帯用ラジオではおそらく不十分だ。感度や機能を売りにした1万円から2万円程度のものを使おう。例としてはソニーの「ワールドバンドラジオ」と銘打った物がよい。周波数がデジタルで表示されるものがいいだろう。これで物足りなければ、数メートルのループアンテナを屋根の上にあげて、10万円クラスの受信機が必要になるかもしれない。
アンテナは基本的に長ければ長いほどいいというものではなく、目的周波数の波長に合った長さ(ふつうは1/2か1/4)のものが必要とされる。しかし、中波の波長は300メートルもあるので、できるだけ大きく、長くする必要がある。
ラジオを分解したことがあるなら知っていると思うが、中にはでかいコイルが収まっている。これで電波を受信しているわけだが、これには指向性がある。コイルが水平になるようにして(つまりふつうにラジオを持って)方向を変えてみると、音の大きさが変わる。
心構えとしては、きわめてアナログチックな世界なので、コンピュータと違って値段の高いものを買えば必ず結果が得られる、というものではない。大自然の法則、つまり電波伝搬を理解し正しく利用する知識が必要になる。とはいえ、素人知識でいいかげんにやってもそれなりの結果が得られるのもアナログの魅力。いろいろ試行錯誤が必要であることを覚えておこう。
初心者編
以下に紹介する方法はいずれも、ビニール線をぐるぐる巻いたり高く張ったりするだけで、ラジオを改造したり電気的に接触させる必要がありません。でかいコイルとバリコンをくっつけて、でかい共振回路を作ってラジオと疎に結合し、受信の補助とするものです。失敗のないアナログの世界なので、かなりいいかげんにやってもそれなりに効果あります。それぞれ、巻き数など紹介してありますが、基本的にカットアンドトライでオッケーです。私はティッシュの箱にぐるぐる巻いてバリコンをつけてました。物理的にでかければでかいほど効果あります。バリコンの調整範囲ではみ出るようなら、コイルの巻き数を増やしたり減らしたりします。ラジオの置き方ですが、コイルの向きと、ラジオの内蔵コイルの向きが同じになるようにしてください。
※シールドされている通信型受信機や、LC同調回路でないラジオには効果ありません。鉄筋コンクリートのマンションなどの建物では、室内にいくらアンテナをつけてもあまり効果はありません。
AMラジオ遠距離受信のコツ
http://homepage1.nifty.com/kamegaya/am_jushin.htm
アンテナを工夫する 計算式も紹介してあります。
http://www.aka.ne.jp/~deguchi/hobby/radio/loop.html
中波帯用ループアンテナの製作
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kazuchan/loop.html
ラジオの感度を増加させる外部アンテナ
http://www.intio.or.jp/jf10zl/extant.htm
バリコンは秋葉原や日本橋の電子パーツ屋にあります。中波放送用の、単連ポリバリコン(270pF、300pF、330pFくらい)です。はんだづけしたほうがベターです。
サトー電気 電子パーツ店
http://www2.cyberoz.net/city/satodenk/cap.html
中級編
回路図を見て製作のできる人用です。ラジオの性能が悪かったり、アンテナチューナがないと余計に苦労するかもしれません。
ゲート接地型広帯域プリアンプの製作と特性測定
http://isweb3.infoseek.co.jp/diary/five/GWPREAMP/INDEX.HTM
ペコちゃんループアンテナの製作
http://isweb3.infoseek.co.jp/diary/five/PEKO1.HTM
http://isweb3.infoseek.co.jp/diary/five/PEKO2.HTM
上級編(参考程度に)
フェライトバーアンテナ「闘魂1号」
http://isweb3.infoseek.co.jp/diary/five/TOUKON1/INDEX.HTM
3メートルループアンテナの製作
http://isweb3.infoseek.co.jp/diary/five/3M/INDEX.HTM
必殺技編
電灯線アンテナその1
AR16広帯域受信機の項でも紹介しましたが、家庭用100Vのラインに乗っている電波を利用する方法です。やり方は簡単、ACコードをラジオにぐるぐると巻いて、コンセントに差してください。
電灯線アンテナその2
その1を、より密に結合する方法です。図を見てください。ACのプラグと100pFのセラミックコンデンサ、ビニール線を用意してください。プラグを開けて、プラグの金具とビニール線をセラミックコンデンサでつないでください。ビニール線は、ラジオのアンテナ端子に接触させても大丈夫です。なぜか感電しません。ちなみに、コンセントの穴は片方しか使用しませんが、穴の大きいほうがアースに繋がっているので、どちらか良く聞こえるほうに差し替えてみてください。
電灯線アンテナとは・・・家庭用コンセント、AC100Vの電線は、外の電柱につながってますね。その先は数百メートルもの電線がつながってますね。この電線も、電波から見ればアンテナと似たようなものなのです。同様の原理で、電話線でも同じことができます。ただしISDNはデジタル信号が乗っているので使えません。ISDNやめましょう。
ふつうのラジオで周波数を直読する方法
デジタルで周波数が表示されるラジオだとよいですが、そうでない場合は、目盛りのどのへんで目的の放送が受信できるかわからないと、微弱な電波を受信する際、いま受信しているのは目的の放送局なのかわからなかったり、とても困ります。そこで、ふつうのアナログラジオでも周波数が直読できる方法を紹介します。必要なものは、でかい同調ダイヤルを持っているラジオです。できるだけ減速率の大きい減速機構をもっていると良いです。
持っているラジオが、図1のような感じだとうまくできます。
図2のように、紙の帯で輪っかを作り、ダイヤルにぴったりはめます。この紙の輪に周波数目盛りを書き込みます。ダイヤルのわきに、目盛りを読むためのしるしをつけてください。
とりあえずどこかの放送局を受信します。図3では、1179KHzの毎日放送を受信しています。受信できたら、紙の帯に受信できた位置にしるしをつけます。
図4のように、別の放送局も受信します。例では1314KHzの大阪放送を受信しています。さっきと同じように、紙の帯にしるしをつけます。
ここで、輪っかをはずしてください。図6のように、さっきつけた二つのしるしの間を埋めていきます。中波放送局の周波数は、必ず9KHz間隔で並んでいます。勘のいい人は気づいたかもしれませんが、9KHzごとに並んでるということは、1179KHzと1314KHzのあいだには、14局の放送局があるわけです。ということは、さっきの二つのしるしの間に、等間隔に14個のしるしを入れれば、周波数直読が可能になるということです。実際にこれを使うには、あらかじめ周波数のわかっている放送局に合わせる必要があります。
それと、注意しないといけないのは、中波ラジオの目盛りはたいてい不均等で、低い周波数では目盛りが広く、高い周波数では狭くなっています。ですから、この帯をつくったあたりの周波数でしかつかえません。それから、帯を作るとき、基準となるふたつの放送局を選ぶときも要注意です。
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