製品レビュー

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キット

FCZ研究所パッシブCWフィルタ

オーディオフィルタは尻ぬぐい措置であり本道ではないことはよく承知しているが、その反面、安価であらゆる無線機に取り付けが可能というメリットがある。このFCZ研究所のオーディオフィルタは、無線機の音声出力に接続し、CWで使われる800Hzの音声を通過させる単機能のキットである。広帯域受信機で7MHzのCWを聞くために導入することにした。ケースと低周波アンプ付きモデルで約3500円だった。回路はLCのハイパスフィルタとローパスフィルタを組み合わせ、約800Hzの音声を通過させるようにしている。

説明書は実体図が小さく、若干わかりにくい。アンプ部分は回路図と少し食い違うところがあった。ささいなところなのだが、電子工作に不慣れな人は戸惑うだろう。FCZ基板上に組み立てるが、基板は小さく部品は大きいので要領よくやらないとうまくいかない。回路は簡単だが決して入門者には向かない。

調整箇所はないので、組み立てるとそのまま動作する。フィルタ部分に電源は必要なく、アンプなしでも動作するが、非常に音が小さいのでアンプは必須。性能は、たしかにSメーターは振れても音が聞こえなくなるなど、たしかに効果はある。7MHzのCWをストレスなく聞き取るには今一歩といったところで、耳フィルタとの併用が必要。ただし、楽になることには間違いない。キットそのままの状態では、音量調整やフィルタのバイパスができないので、これらは自分で工夫することになる。通過帯域の調整などはできない。

3500円という値段を考えると、あまりお得とは言えない。ヤホオークで中古のオーディオフィルタを買ったほうがよほど性能も使い勝手もよいと思う。あくまで自作、工夫をしてみたいという人向けのキットだと思う。

FCZ研究所








Vectronics Super CW Filter

CW受信用オーディオフィルタキット。受信機の低周波出力から混信を除去する装置。米国ベクトロニクス社の製品。中心周波数750Hz、通過帯域は180Hz、110Hz、80Hzの3段階切り替え。スイッチによりフィルタバイパス可能。価格は低周波アンプなしモデルでわずか20ドル、アンプ付きモデルは30ドル。ノッチ機能付きオールモード対応モデルは35ドルと非常に安い。今回試したのはアンプなしモデル。

フィルタ (OP AMP) は4段階あり、スライドスイッチによって通過させるフィルタの数、つまり通過帯域を設定している。基板は穴開きプリント基板にパーツナンバーがシルク印刷済み。説明書は抵抗のカラーコードの読み方、一つ一つのパーツをはんだ付けする手順、トラブルシューティングまで、くどいほど丁寧に説明している。実際には実体図だけで一目瞭然で、間違えようがない。調整箇所はなく、電池をつなげばすぐ動作する。そのままだと音量が非常に小さいので、低周波アンプは必須。アンプ付きモデルを買わなくても、手持ちのLM386などで作ればよい。

使い勝手は非常によく、特に3段階の帯域調整が嬉しい。使用している受信機の最少ステップが50Hzなので、もっとも狭い80Hzではあまり恩恵を受けられなかった。音質もかなり悪くなる。コードがかさばるのでかならずケースに入れたい。FCZ研究所の同種の製品と異なり、さまざまな点で工夫されており、低価格で極めて実用性の高い製品になっている。

Vectronics
Morse Express (取扱店)